漫画系まとめブログです

今ん所この漫画の中では「先代たちが積み上げてきたもの、先代たちのやり方」は基本的に戦いや恨みを呼び込むだけのクソという扱いだな

いや先代達のやり方に馴染めないはぐれものを中心に描いてるだけだぞ
作中の時代の価値観的にはトルフィンやクヌートのほうがくそ
漫画的にも自分らがはみ出し物って自覚しとるしな

クヌートはそのへんわりきって先達のやり方踏襲してるが
トルフィンはまだいくじがついてない

なんでもそうだが、作中の価値観と読者の価値観を一緒にしたらあかんわ

農場編はケティルが悪い、いやアルネイズが悪いと揉めがちだけど、俺は誰も悪くないと思うわ。
それぞれが人として当たり前のエゴを持っていて、それがぶつかり合った結果そうなってしまったというだけ。

ケティルの場合、幼い兄弟の裁定で情けを見せたり、(最後のアルネイズへの仕打ち以外)奴隷の扱いが概ねフェアで人道的というのも彼の一面。
しかしクヌートに敗れて敗走するとき農民に「あんたは何を言われても王に従わなきゃいけなかったんだよ。俺たちがあんたに従ったようにな」と皮肉られたように、支配者として振る舞ってたのもまた一面。
そして自分が追い詰められたときに、結局後者の顔が強く出てしまった。

一方のアルネイズ。たしかに自分で「いやな女」というくらい、あいつが余計なことをしたせいで死ななくていい人間が数多く死んだ。だが、そもそも暴力をもって奴隷に落とされた人間が、抵抗したりその境遇から脱しようとすることの何がいけないのかって話だわな。

個人的には、アルネイズの振る舞いに人間としてのリアリティを強く感じる。
「お腹の子のために元夫を見捨てます」と宣言しておきながら、その舌の根も乾かぬうちに元夫のところへ行ってしまう。しかもハッキリ心変わりしたというより、自分でも何が正しいのか分からずに震えたままそうしてしまう。

理屈ではこうした方がいいと分かっていても、心はそう動いてくれない。
その葛藤・アンビバレンツに苦悩する姿こそが、人間の本質だと思う。